羽田空港不時着 第6節


ウルヴェルヌは、車から鍵を抜くと、素早く降車した。榎倉は、装備品のボックスを引っ張り出しながらそれに続いた。

榎倉
.榎倉.

「ところで、なんでサイレン鳴らさなかったんだ?」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「要らぬ影響を与えるかもしれなかったからな。一応、警備関係者への配慮だ。それと、俺は、サイレンの鳴らし方を知らない」

榎倉
.榎倉.

「えぇ・・・」

榎倉は思わず呆れた声を上げてしまった。

榎倉
.榎倉.

「よくそれで、パトカーなんて借りようと思ったわね」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「特殊な用途は走行に関する部分には関係ないからな」

榎倉
.榎倉.

「ま、そりゃそうですけれどね」

榎倉は肩をすくめた。

榎倉
.榎倉.

「それで、次なる作戦は?」

榎倉は、ウルヴェルヌに装備品のボックスを渡しながら言った。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「先ほど滑走路に出ていた集団は、こちらを負ってくる様子はない。第二ターミナルに突入。その後、警備隊と合流し、周辺の騒動鎮圧に協力。一通りそれが済み次第、状況を確認。事態が収束に向かっていると判断可能ならば、第三ターミナルに向かい、極東官庁からの迎えに合流する」

榎倉
.榎倉.

「了解。殲滅、鎮圧、撤退だな」

榎倉はうなずいた。

ウルヴェルヌは、榎倉の雑な要約に苦言を呈そうとも思ったがやめた。時間の無駄だ。そんなことをするよりも、装備品のボックスを体に固定する方を優先した。

榎倉
.榎倉.

「で、何処から入るんだ?」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「ボーディングブリッジに、滑走路とつながっている階段がついている。そこを上る」

ウルヴェルヌは、榎倉の問いが建設的だと判断して、回答した。

榎倉
.榎倉.

「ボーディングブリッジって、空港のターミナルと飛行機をつないでるあれか」

ウルヴェルヌはうなずいて、アームフォンのライトをつけた。

アームフォンのライトが滑走路からボーディングブリッジに登れる階段を照らす。

榎倉
.榎倉.

「おお、確かにここからは入れるな」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「ぼさっとするな。上るぞ」

榎倉
.榎倉.

「へいへい」

榎倉はウルヴェルヌに急かされて階段を上った。そして、無理やり扉を開けると、中に入った。

榎倉
.榎倉.

「具体的な手段についてはノーコメントだぜ」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「ボーっとするな、行くぞ」

ウルヴェルヌは榎倉を追い抜いて歩き出した。

極東官庁のオペレーターが用心しながら歩いていく二人に通信機で話しかけた。

オペレーター
.オペレーター.

「このビルの中には、まだ、襲撃犯たちは侵入していない模様です」

ウルヴェルヌはそれを聞いて、一気に加速した。榎倉もそれに続いて加速した。

ウルヴェルヌは走り続けている間、チラチラと滑走路の方の大きなガラスの方を見ていた。

榎倉
.榎倉.

「どうした?」

榎倉は、ウルヴェルヌがあまりにそちらを気にするせいで、気になって尋ねた。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「いや、海側からの襲撃を警戒している。また、ドローンが出た場合、可能な限り、周辺の被害を抑えるため、慎重な攻撃が望ましいからな」

榎倉
.榎倉.

「そういうこと・・・」

オペレーター
.オペレーター.

「敵機、来ます!」

榎倉が云い切らないうちに、オペレーターの通信が割り込んできた。

その瞬間、ガラスが機関銃の砲火でぶち破られた。

榎倉
.榎倉.

「おいでなすった!」

榎倉は、砲火を避けるようにしつつも、ガラスの方に近づく。

そして、ターミナルの外壁から、槍を出現させる。

槍がドローンについていた機関銃を貫く。ひとまず、射撃を封じることには成功した。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「よくやった!」

ウルヴェルヌはそう言って、ワイヤーのついたグレネードを投げた。

ワイヤーが絡まって、グレネードがドローンにぶら下がった。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「逃げるぞ!」

ウルヴェルヌはそう言って柱の陰に隠れた。榎倉もそれに続いた。

グレネードはそれからすぐに爆発して閃光が走った。

榎倉
.榎倉.

「今のは?」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「スタングレネードだ。お前が時間を稼いでくれたおかげで、光学式の自動操縦ドローンだとわかった。だから、今のでカメラを潰した。カメラを潰せば、あれは、自動着陸に入るはずだ」

オペレーター
.オペレーター.

「大変申し訳ございませんでした。敵機の確認が遅れてしまい」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「いや、構わない。俺も気にしていたことだったからな」

ドローンのプロペラ音が止んだことから、ドローンの撃退に成功したことが分かった。

榎倉は、破壊されたガラスから下を覗き込んだ。

ドローンはピーッピーッとエラー音を立てている。榎倉は、ドローンから槍を生やして、素早くドローンのプロペラを全て破壊した。

榎倉
.榎倉.

「これで、モーターが回り始めても、飛ぶことはできないだろうな」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「適切なサポート感謝する」

ウルヴェルヌはうなずいた。

それから二人はすぐに移動を開始した。

ウルヴェルヌが足を止めたのは、出国ゲートの目の前だった。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「さて、ここから出るぞ」

ウルヴェルヌは、ゲートを指さして言った。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「分かった」

榎倉はそう言ってそのままゲートの枠を通ると、激しい警報音がした。

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榎倉
.榎倉.

「おっと、金属探知機か。ついてたんだな」

榎倉は照れ笑いをしながら言った。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「そんなことをしている場合か」

ウルヴェルヌは榎倉を蹴飛ばして自分もゲートをくぐった。ゲートでは、当然の様に金属探知機が音を鳴らした。

そうして、二人は、出国ゲートから、入国した。

榎倉
.榎倉.

「おいおい、入国ゲートからじゃなくていいのか?」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「そんなことを気にしている場合ではない」

ウルヴェルヌは榎倉のことをにらみつけた。それから、通信で極東官庁に呼びかけた。

オペレーターは質問が来る前に状況の解説を始めた。

オペレーター
.オペレーター.

「はい。主に戦闘が行われているのは第二ターミナル、フロア1。到着ロビーです。また、バス及タクシー等、車両の降車場所にもなっており、そちらの道路でを挟んで交戦中と思われます」

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「了解した」

ウルヴェルヌと榎倉の二柱は、道路側が見通せるガラスの方へ駆け寄った。ここまでくると、襲撃者に投降を呼びかけるスピーカーの声が聞こえた。

警備隊員
.警備隊員.

「速やかに投降せよ!繰り返す、これ以上の違法行為を止め、速やかに投降せよ!従わない場合には、再び放水及び催涙ガスによる攻撃を行う!」

しかし、一方で、襲撃者たちは、それに、銃撃で答えていた。

榎倉
.榎倉.

「とはいえ、これじゃ、騒いでるだけって感じだな」

榎倉は、上から状況を見下ろしていった。

警備の放水と催涙ガスで襲撃者たちは足止めされている。

警備隊はといえば、設置型のバリケードと、各人所持している盾でがっちりと固めている。

これでは、襲撃者たちは戦力差で圧されてじり貧で負けるのがおちだった。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「だが、これでは逮捕にも検挙にもつながらんな」

ウルヴェルヌは、守りだけを徹底的に固める警備方法に不満そうだった。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「襲撃者を逮捕するのではなく、自分たちの損害が少なければいいという状況だな」

榎倉
.榎倉.

me/xccsanburo/sightenovel.com/public_html/saintedge/asset/line2.php'); ?>「まぁ、それは仕方ないんじゃないのか?このままつっこんでいっても、取り囲まれたり、銃で撃たれちゃね」

榎倉の感性で言えば、そんなことは人間だれしも嫌だった。

よく言えば、被害は少ないやり方だが、悪く言えば、消極的な態度だ。警備と言う観点では守りきればいいのかもしれないが、

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「だからと言って、じり貧でどうにかできる訳でもあるまい」

ウルヴェルヌはそう言って、歩き出した。榎倉は、肩をすくめながらついていくことにした。

榎倉
.榎倉.

「で、どういう策で行くんだ?」

ウルヴェルヌは足を止めることも、振り返ることもなく、説明を始めた。

ウルヴェルヌ
.ウルヴェルヌ.

「ひとまず、この区画の責任者に我々の到着を報告。滑走路に侵入した連中のルートを、警備隊員と共に確認。そこで検挙を行う。その後、戦闘が激しい区画を順に制圧する」

榎倉
.榎倉.

「長そうだな・・・」

榎倉は、げんなりして言った。